2021年8月18日 09:00
今年も例年以上に厳しい暑さが続いています。日本各地で猛暑日となり、熱中症のニュースも連日報道されています。しかしこの熱中症、発生リスクに対する正しい知識を持っている人はまだまだ多くはなさそうです。タニタでは昨年、一昨年に続いてアンケート調査「熱中症に関する意識・実態調査2021」を実施。前回は熱中症に深く関係している「暑さ指数(WBGT)」と「熱中症警戒アラート」の認知率について紹介しましたが、今回は「熱中症の危険度」について紹介します。
※同調査は2021年6月29日~7月1日の3日間に、全国の15歳以上の男女1000人に対してインターネットリサーチで実施しました。調査レポートは以下より参照できます。
https://www.tanita.co.jp/cms/press/pdf/2021/heatstroke_research.pdf
<前回の記事>
「暑さ指数(WBGT)」と「熱中症警戒アラート」って知ってる?【熱中症に関する意識・実態調査2021】
全国の15歳以上の男女1000人を対象に「どのような情報から熱中症の危険度(その日の熱中症のなりやすさ)を判断しているか」について聞いたところ、昨年同様に「テレビの天気予報」が圧倒的多数という結果に。とくに気になったのが「身の回りの計測器」と「熱中症警戒アラート」の数値。身の回りの計測器は昨年より4.0ポイント上昇しており、活用されているか…まではアンケートからは読み取れないものの、昨年よりも注目されていることが伺えます。また、今年から全国を対象に運用開始した「熱中症警戒アラート」は熱中症の危険性が極めて高くなると予測された際に都道府県単位で発出されており、メールやLINEでも通知を受け取れます。熱中症警戒アラートはあくまで“都道県単位”なので「今自分がいる場所」や「自分の今いる部屋のなか」などのピンポイントで状況を知るには温・湿度計、熱中症計といった計測機器の使用をおすすめします。
クールビズの目安とされる“室温28℃”。これってエアコンをつけるときの設定温度ではありません。アンケート調査によると、今年の夏の室温について「夏は室内温度を28度以下に保つようにしようと思う」に「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人の割合は全体の66%。そのうち、さらに57%の人が「エアコンをつけるときには設定温度を28℃にしようと思う」という問いに対して「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答。昨年も同じ設問をしていますが、同程度の水準の人がクールビズの目安“室温28℃”を「エアコンをつけるときの設定温度28℃」と誤解していることがわかりました。
では実際にエアコンを28℃に設定するとどうなるのでしょうか。タニタから販売中の黒球式熱中アラーム「TC-210」を使って実際にはかってみました。ついこの前、エアコンをタイマーでオフになる設定にして就寝したら、朝グッタリしていたことがあったばかりの私。日中はどれくらいの暑さ指数になっているのか気になります。(※危険なのでマネしないでください。)今回使用した黒球式熱中アラーム「TC-210」は、熱中症の危険度を示す指標である暑さ指数(WBGT)を計測・表示し、日焼けが始まるまでの時間を知らせる機能も備えています。
▲黒球式熱中アラーム「TC-210」
室内にいるときはエアコンを25.5℃~26.5℃くらいに設定することが多いのですが、日中にエアコンを28℃に設定し、タイマーで時間をはかりつつTC-210でその経過を見てみることにしました。この実験を行ったのは2021年8月5日の正午時すぎ。環境省・気象庁から「熱中症警戒アラート」が発表されている日でした。私が住んでいる東京の最高暑さ指数は32℃が予測されていました。実験開始直後の室内の暑さ指数は20℃、室温は24.1℃、湿度は66%でした。この実験を行う直前までエアコンの温度を26℃に設定していたからか、危険度は最も低い「ほぼあんぜん」。
▲2021年8月5日12時21分からスタート。開始直後の暑さ指数は20℃、室温24.1℃、湿度66%。表示は「ほぼあんぜん」
▲LINEで受け取れる、環境省の「熱中症警戒アラート」。東京の最高暑さ指数の予測は32℃
はじめた直後は「意外と過ごせそう」と高をくくってPC作業をしていたのですが、それから1時間くらい経過すると、窓を背にして作業していたこともあってか、じんわり蒸し暑さを感じるように…。
そして「これ以上進めたら危険かも」と感じてストップしたのが約1時間半後の14時2分。TC-210を見てみると、たった1時間半にもかかわらず暑さ指数(WBGT)は5℃上昇して25℃、室温は4.7℃上昇して28.8℃、湿度は1%上昇して67%になっていました。室温はエアコンの設定温度を超えています。危険度は2段階アップして「けいかい」に。日の当たる窓際に置いていたから、ということも要因にあるかもしれませんが、それでもわずか1時間半で室温や暑さ指数が5℃近く上昇って…。環境省の最高暑さ指数32℃にこそならなかったものの、わずか1時間半、それも室内でこの上昇っぷりは自分でも驚きました。エアコンをタイマーにして切って眠った翌朝、あの日はもしかしたら軽い脱水症状を起こしていたのかもしれないと思うとゾッとします。環境省が発表している数値はあくまでエリアごとの数値なので、たとえ「熱中症警戒アラート」が出ていなくても今自分がいる場所の数値とは異なることはもちろんあります。今回の実験を通して、改めて自分がいる環境の状態を数値で把握することの大切さを感じました。
この1時間半の実験でもグッタリしてしまったくらいなので、決してマネはしないでください。
▲2021年8月5日14時2分に終了。このときの暑さ指数は25℃、室温28.8℃、湿度67%。表示は「けいかい」
余裕をかまして実験に臨んだ私(30代前半)ですが、今回の室内の実験で熱中症にこそならなかったものの、だいぶグッタリしてしまったのは事実。この暑さのなかでは年代問わず誰でも熱中症になる危険はあります。アンケート調査でも“熱中症にならない”という自信があるか聞いたところ、「ある」は21.3%、「ない」は78.7%となりました。 性別・年代別にみると、“熱中症にならない”という自信がある人の割合は、60代以上男性(39.8%)が最も高く、次いで、10代男性(37.3%)、20代男性(33.7%)という結果が出ています。加齢により暑さや寒さを感じにくくなることや、若い人でも睡眠時などは特に注意が必要です。
熱中症は対策することで100%予防できる疾病といわれています。情報や機器を上手に活用して熱中症を予防しましょう。
<報道関係の方へ>
本記事で紹介したグラフを「ダウンロードはこちら」からダウンロードいただけます。
ご使用いただく際はご登録のうえダウンロードをお願いいたします。
Text:難波みなみ