2021年8月26日 11:50

タニタの“個性派”大集合!異彩を放ったヘルスメーターたち

いろんな人のからだをはかり続けて、早62年。タニタは2021年5月にヘルスメーター国内販売台数1億台を突破しました。体重計、体脂肪計、体組成計と、名称や機能は時代によって変化していますが、これまで1億人以上の健康をはかってきたタニタのヘルスメーター。一億台も販売していれば、一世を風靡した「革新的モデル」もあり、長く愛される「鉄板モデル」もあり…。その一方で、中には「どうしちゃった?」と突っ込みたくなるようなモデルもあるわけです。今回は数あるタニタのヘルスメーターの中でも、フライングし過ぎたモデルから茶目っ気たっぷりなモデルまで、タニタの“個性派”ヘルスメーターを紹介します。

 

早過ぎたのではない、時代が追い付かなかっただけ

まずは2003年に発売した「ヘルスプラネット」。こちらは世界に先駆け、無線通信機能を搭載した体脂肪計・血圧計・歩数計のセット商品として発売した商品。「一生、あなたの健康を見守ります」という、プロポーズさながらのコンセプトで事業構想に取り組み、売り出されたこのセット。体脂肪計を中心に、歩数計、血圧計の計測データを無線通信でパソコンに転送して管理できるというものでした。パソコンで計測データを記録して時系列グラフで確認できるという、当時としては超画期的なシステムでしたが、セット価格が6万円を超える高額だったことがネックとなったからか、プロポーズむなしく販売は振るいませんでした。

ヘルスプラネット(2003年)

▲ヘルスプラネット(2003年)

 

しかしここでめげないのがタニタ、さっそく次の商品に取り組みます。2007年には健康計測機器とウェブとを連携させた次世代ヘルスケアサービス「モニタリング・ユア・ヘルス」を開発。今度は商品名がそのまま「あなたの健康を見守ります」になっています。日本国民の健康をサポートすべく、2回目のプロポーズです。

こちらは専用に開発された計測システムと、ウェブを活用した健康管理サービス「からだカルテ」で構成する健康支援サービスでした。計測システムは、バイタルセンサーと呼ぶ計測機器で計測したデータをUSBメモリータイプの専用機器「リレーキー」を介してパソコンに転送。バイタルセンサーは、無線通信機能を備えた体組成計・血圧計・歩数計で構成されます(その後、尿糖計が加わりました)。そしてそれぞれが計測したデータをパソコンに集約し、インターネット上で一元管理できるというもの。バイタルセンサーから専用レシーバーを介して直接インターネットへ送信するタイプもありました。

モニタリング・ユア・ヘルス(2007年)

▲モニタリング・ユア・ヘルス(2007年)

 

今となってはBluetooth対応モデルが増えてきていますが、当時はブロードバンド世帯普及率 50.9%、家庭のブロードバンド利用者数は4,627万人と言われていた時期。注1)今ほどBluetoothという言葉も浸透していなかったような時代です。そんな時代にインターネットの使用を前提とするモデルを一般向けに発売していました。

「早過ぎたのではない、時代が追い付かなかっただけ」と言えば聞こえがいいですが、いくらなんでも早過ぎました。そして2回目のプロポーズもあっさり振られてしまいました。ただし、このときのノウハウがベースになり、かたちを変えて現在の「からだカルテ」や健康管理アプリの「ヘルスプラネット」、自治体や企業向けの健康づくりサービス「タニタ健康プログラム」が生まれていると思うと、ちょっと感慨深いかも。

 

注1)インターネット白書2007 より

 

妊婦さんをリスペクトするあまり“盛り込みすぎた”体脂肪計

タニタでは1992年に世界初の、乗るだけではかれる業務用体脂肪計を開発し、1995年に発売した一般家庭用の体脂肪計で一世を風靡した体脂肪計測のパイオニア。しかし、妊婦さんの母体には羊水があるため、体内の水分に影響を受けやすい一般の体脂肪計では正確な計測ができないという課題にぶつかっていました。そこで2002年に誕生したのが「母子健康管理計 mama Mitte’(ママミッテ)」です。こちらは産婦人科の医師と共同で開発した商品。妊娠後の体重をはかりつづけ、出産後は生まれた子どもの健康な発育までを管理できる体脂肪計となっています。

母子健康管理計 mama Mitte'(ママミッテ)(2002年)

▲母子健康管理計 mama Mitte’(ママミッテ)(2002年)

 

というところまではよかったのですが…。核家族化の時代に対応するべく、妊娠・出産に関する情報が閲覧できる辞書機能がついていたり、簡単に操作や閲覧できるよう、インターフェースをバンダイの携帯型ゲーム機「スワンクリスタル」にしたり…。また、息抜きにちょっとしたゲームもできるなど、妊婦さんを想うあまり、ちょっと詰め込みすぎた一台となっています。さらに、電極は赤ちゃんの足型をイメージしたかわいらしい形状で、デザインもこだわりまくっています。リスペクトする想いが重過ぎたのか、はかることに遊び心を盛り込むのがちょっと早過ぎたのか。短命に終わってしまった商品ではありますが、この頃から息づいていた「楽しくはかる」というゲーミフィケーション精神は今の商品にもしっかり受け継がれています。

 

ゲーミフィケーションの最新形態、前人未踏の斬新モデル

ゲーミフィケーションと言えば、このモデルを語らずにはいられません。そう、2018年に発売した「セガサターン体組成計」です。こちらは家庭用ゲーム機「セガサターン」のデザインを忠実に再現した体組成計。キャラクターではなくゲーム機本体を盤面にあしらうという斬新な発想が話題となりました。商品パッケージももちろん本家をオマージュした仕様というこだわりっぷりです。

セガサターン体組成計(2018年)

▲セガサターン体組成計(2018年)

セガサターン体組成計のパッケージ

▲セガサターン体組成計のパッケージ

 

販売台数はセガサターンの発売日である11月22日にちなんだ1122台限定で、あっという間に完売。その後再販することになりました。ちなみに「メガドライブ体組成計」「ドリームキャスト体組成計」も発売し、ヨーロッパでは「ヨーロッパ版メガドライブ体組成計」も販売しています。こちらから購入可能です。乗るか飾るかはあなた次第です。

 

セガハード体組成計 特設ページ

https://shop.tanita.co.jp/segahard/

※セガサターン体組成計のみ在庫切れ

 

ⒸSEGA

 

アニメ・ゲームファン向けだけではない。実は「ユニバーサルデザイン体組成計」として生まれた商品

ここ数年、タニタは「キャラクターボイスで叱咤激励してくれる体組成計」を販売しており、たびたび話題となっています。最近ではさまざまなアニメやゲームとコラボしているので、見かけたことがあるという方も多いかもしれません。この体組成計の音声読み上げ機能は、もともとは「高齢者や視覚に障害のある方にも使いやすく」するために備えられたものでした。現在のモデル「インナースキャンボイスBC-202」の発売は2011年ですが、音声読み上げ機能を備えたモデルは1980年代から販売されています。現在のモデルが発売されてから今年で10年。タニタの体組成計の中ではロングセラーのご長寿モデルとなっていますが、時代に合わせていろいろな方の声で、今日もあなたの健康を読み上げています。

インナースキャンボイス BC-202(2011年)

▲インナースキャンボイス BC-202(2011年)

 

番外編・今だったら「レトロかわいい」で売れるかも?

最後にちょっとだけ番外編を。再販したらレトロかわいい路線で売れそうな商品がこちらの「ビーズ模様のヘルスメーター」と「ニューワイド〈花〉」。特に「ニューワイド〈花〉」は当時人気の花柄モチーフで、ロングセラー商品となりました。

ビーズ模様のヘルスメーター(1963年ごろ)

▲ビーズ模様のヘルスメーター(1963年ごろ)

「ニューワイド〈花〉No.1321」(1968年)

▲「ニューワイド〈花〉No.1321」(1968年)

 

 

今回紹介した商品たちは東京・板橋区にあるタニタ本社内の「タニタ博物館」で実物をご覧いただけます。

 

タニタ博物館

※一般見学受付はしばらくの間見合わせております。ご了承ください。

 

<報道関係の方へ>

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Text:難波みなみ