2021年12月26日 17:30

「第4回ご当地タニタごはんコンテスト」受賞者喜びの声

2021年11月28日、東京にあるイベントホール「二子玉川ライズiTSCOM STUDIO&HALL」(東京都世田谷区)で15チームが熱戦を繰り広げた「第4回ご当地タニタごはんコンテスト-ヘルシー郷土料理で健康まちおこし-」全国大会は、北海道のチームがグランプリに輝くという格好で幕を閉じました。料理のレベルの高さは言うまでもなく、わかりやすいプレゼンテーション、民族衣装に身を包むなどビジュアル面でも注目されました。同コンテストで審査委員長を務めた服部幸應氏(服部栄養専門学校理事長・校長)は「受賞できなかったチームもすばらしかった。その差は1点、2点とわずかだった。(受賞できなかったことに)がっかりせず、これからも挑戦し続けてほしい。素晴らしい力量をこれからも発揮していただきたい」と全チームにエールを送りました。グランプリ、準グランプリを受賞した3チームにメニューづくりのポイントなどを聞いてみました。

第4回ご当地タニタごはんコンテスト・全国大会集合写真

▲「第4回ご当地タニタごはんコンテスト-ヘルシー郷土料理で健康まちおこし-」全国大会の出場者と審査委員(2021年11月28日、東京・二子玉川)

 

【グランプリ】 吉田善哉さん、高橋千恵さん、東定利さん(北海道) 「エゾシカ肉のローストなど」

アイヌ民族衣装に身を包みインタビューに応じる(左から)東定利さん、髙橋千恵さん、吉田善哉さん

▲アイヌ民族衣装に身を包みインタビューに応じる(左から)東定利さん、髙橋千恵さん、吉田善哉さん

 

―昨年の全国大会も出場しました

 

「昨年はグランプリをとりたいといったような意気込みは全くなく、なんとなく出場した感じでした。いざ全国大会に出場すると、他のチームはプレゼンテーションも上手く、自分たちの力のなさを痛感しました。悔しい思いが募るばかりで、羽田空港で帰りの飛行機を待つ間、3人で反省会を開きました。そこで『このままでは終われない。来年、また出場しよう』と誓い合いました」

 

―今回は入賞を狙って出場しました。どんな秘策があったのでしょうか

 

「とにかくわかりやすいプレゼンテーションをしようと心掛けました。自分たちのプレゼンテーションを撮影し、直後に動画を確認するといったことを繰り返しました。また、大学の先生や職場の同僚、友人、知人などたくさんの人にチェックしてもらい、プレゼンテーション中の表現や、わかりづらい部分はすぐに修正しました。対策はプレゼンだけにとどまらず、アイヌ文化をメニューに取り入れてうまく表現するという難題にも挑みました。北海道白老町の『国立民族共生象徴空間』(愛称・ウポポイ)に何回も足を運び、アイヌ文化について学びました」

 

―メニューのこだわりのポイントは

 

「11月19日に鹿ハンターが撃った3歳の雌エゾシカを用意し、しっかり熟成させたエゾシカ肉を使用しました。昨年の全国大会ではジンギスカンを使った料理を出しました。東京でもジンギスカンは用意できるということだったので、こちらで用意しませんでした。しかし、会場にあったジンギスカンはいつも北海道で食べているものとは違いました。大会終了後、ジンギスカンは自分たちで用意すべきだったと反省しました。今回の大会で同じ轍を踏むのだけは避けたかったので、食材の一部は自分たちで用意し、持ち込みました」

 

―次の目標は

 

「今回、グランプリを受賞できたたことで達成感はあります。我々は現在、移住・定住ネットを活用し地元の特産品を使った料理を提案するといった活動に取り組んでいます。ジビエ料理の提案はその一環で、今回の大会で使ったソースをベースに改良し、他の料理にも使っていきたい。また、メンバーの中には小学校の栄養教諭もいるので、学校給食でも提供できればと考えています」

グランプリを受賞した「エゾシカ肉のローストなど」

▲グランプリを受賞した「エゾシカ肉のローストなど」

 

【準グランプリ】 丸橋須美さん、青木都登子さん(京都府) 「京都のハイカラ味めぐりなど」

笑顔で取材に応じる(左から)丸橋須美さん、青木智登子さん

▲笑顔で取材に応じる(左から)丸橋須美さん、青木智登子さん

 

―母娘での出場で、準グランプリを受賞しました

 

「ありがたいです。感謝の気持ちでいっぱいです。準グランプリを受賞したので、母の寿命はきっと10年伸びたと思います。今回の受賞はそれぐらいうれしい。でも、もう一つ上の賞である『グランプリ』を獲ってみたいという気持ちもあります。来年もぜひ参加したいと思っています」

 

―メニューは2人で力を合わせて考えたのでしょうか

 

「ほとんど母が考えました。娘の私は少し手直ししたぐらいです。若い時から料理のことを考えることが大好きです。そして、料理を作って家族に食べてもらうのが一番の楽しみになっています。もちろん今回のメニューも大会前、家族にふるまいました。『とてもおいしい』『これならいける』と心強い言葉をもらいました。それが大きな励みになりました。小豆を炊きこんだご飯を京都では『あずのご飯』といいますが、幼い子どもはあまり好きではありません。喜んで食べてもらえるようにライスコロッケ風にアレンジすると、幼い子どもたちは喜んでたくさん食べてくれました。また、素材の味を生かす調味料選びにもこだわりがあります。京都らしさを出すため、京都の白みそを使ったほか、粕汁の味を決める酒かすは京都・伏見の酒蔵のものを使いました。とくに伏見の酒蔵の酒かすは、スーパーマーケットなどで売っているものとは全く違います」

 

―メニューが出来上がるまでの期間はどのくらいだったのでしょうか

 

「出場すると決めてから1カ月ぐらいでできました。毎日、毎日メニューのことを考えていると、なぜか『ポッと』思い浮かんでくるのです。四六時中考えているので、無意識に様々な情報をかき集めているのかもしれません。人と話しているだけでもメニューづくりのヒントが浮かんでくることもあります。そのヒントをもう一度、自分の頭の中で整理し、一つずつ料理を完成させていきました。料理のことを考えている時間は本当に楽しいです」

準グランプリを受賞した「京のハイカラ味めぐりなど」

▲準グランプリを受賞した「京のハイカラ味めぐりなど」

 

【準グランプリ】 中藪宏美さん、足達陽菜さん、金城命さん(広島県) 「海のぬくもり~カラフルお寿司~など」

ウェブ会議システムを活用して広島から受賞式に臨む(左から)金城命さん、足達陽菜さん、中藪宏美さん

▲ウェブ会議システムを活用して広島から受賞式に臨む(左から)金城命さん、足達陽菜さん、中藪宏美さん

 

―準グランプリを受賞した感想を聞かせてください

 

「正直に言うと地区大会が始まる前、私たちは全国大会に出場できると思っていませんでした。それが全国大会に出場し、まさか準グランプリまでいただけるなんて、というのが率直な感想です。ただ、今日も全国大会に出場した各チームのプレゼンテーションや料理をモニター越しに見ながら、3人で『来年はこういう感じのプレゼンをやりたいね』『こういう料理を作りたいね』と自然に話していました。出場チームのメニューやプレゼンはとても勉強になるし、いい刺激にもなります。また、来年も参加したいと思っています」

 

―メンバー3人のご関係は

 

「広島文教大学人間科学部人間栄養学科で管理栄養士を目指す2年生とチューターのチームです。今年度、学年の自主的なグループ活動として『出身県の特産品・郷土料理』について調べ、まとめていますが、広島県で生まれ育っていても広島県内の特産品について知らないものがたくさんあります。また、応募時は大学の授業では献立を考える機会がまだ少なかったため、今回の大会は将来の成長の糧にするため出場しました」

 

―新型コロナウイルスのまん延で、準備も大変だったのではないでしょうか

 

「全員で集まってメニューづくりに着手したのは4月末頃のことでした。初めての試作は5月の大型連休明けごろだったと記憶しています。その時にメニューのベースは固まりました。しかし、その後は再び緊急事態宣言が発令され、登校できなくなりました。メニューづくりは思うように進みませんでしたが、その間にメンバー一人一人がアイデアを温め、緊急事態宣言解除後に開いた打ち合わせでたくさんのアイデアを持ち込みました。たくさんの意見を交わしたことで、メニューの修正が早く進んだと思います」

 

―メニューづくりで難しかったところは

 

「『角寿司』を作るところです。角寿司は広島周辺の郷土料理で、四角い木型に酢飯と具をのせて詰め、押して作る“押し寿司”の一つです。美しく、きれいに形を整えるのがとにかく難しかったです」

準グランプリを受賞した「海のぬくもり~カラフルお寿司~など」

▲準グランプリを受賞した「海のぬくもり~カラフルお寿司~など」

 

 

ご当地タニタごはんコンテスト

 

 

Text:合同会社サウザンスマイルズ