2020年5月8日 17:00

ハンドドリップのコツは「分量」「温度」「時間」!おうちで美味しいコーヒーを淹れよう

家にいる時間が長くなると、美味しいコーヒーを飲みたくなりませんか?

私もコーヒーが好きで自宅でもハンドドリップで淹れているのですが、在宅勤務になってからコーヒーの消費量が格段に増えました。常時5種類くらいのコーヒー豆をストックしていて、その日の気分で豆を変えたりしています。せっかく家にいる時間が長いので、豆の種類だけではなく「淹れかた」にもこだわりたいなぁと思う今日この頃。

 

そして、あまたのコーヒー通の舌をうならす“スペシャリティコーヒー”を提供する東京・浅草のカフェ「splendor coffee(スプレンダー・コーヒー)」で以前飲んだコーヒーの味が忘れられず…。同じコーヒー豆を使ってもお店と同じ味にはならないんですよね。そこで、自宅でお店の味を再現すべく「splendor coffee」店長の清水英貴さんに、自宅でハンドドリップするときのコツをこっそり教えてもらいました。それは「分量」と「温度」、そして「時間」の3つです。

 

■好みの風味に近づけるための目印として「はかる」ことは重要

清水さんによると「ハンドドリップと一言で言っても、その手法は多様です。例えば、ドリッパーひとつをとっても、メーカーや種類によって穴の数や大きさ、傾斜の角度、陶器やプラスチックといった素材までさまざま。コーヒーは奥が深く、豆の産地や種類が同じでも、焙煎方法や豆の鮮度、挽き方、抽出方法など様々な要素が複雑に重なり合ってコーヒーの風味が変わっていきます。どっしりとした風味やあっさりした風味、好みは個人によっても異なるので、一概に『こうすれば美味しくなる』と断言するのは難しいです。しかし『分量』『温度』『時間』を押さえておくことで、自分好みの風味に近づける目印にできるでしょう」という。実際に自宅で使用している道具を使って「美味しく入れるコツ」を教えてもらいました。参考までに、今回使用したものはこちら。

■今回使用したもの(一杯分となる150mlを想定)

・コーヒー豆:15g ※今回は「ケニア」(浅煎り・ウォッシュト)を使用

・お湯:約200ml

・抽出器具:カリタの陶器製コーヒードリッパー「102ロト ブラウン(2~4人用)」

・ペーパーフィルター:「カリタコーヒーフィルター ホワイト NK102濾紙2~4人用」

・クッキングスケール:タニタ「デジタルクッキングスケール KJ-P11」

・温度計:タニタ 「デジタル温度計 TT-583(ブラウン)」

・タイマー:タニタ 「防水タッチタイマー TD-414(ブルー)」 

・プラスチック製スプーン

カリタの陶器製コーヒードリッパー「102ロト ブラウン(2~4人用)」。3つ穴タイプです

▲カリタの陶器製コーヒードリッパー「102ロト ブラウン(2~4人用)」。3つ穴タイプです

▲「カリタコーヒーフィルター ホワイト NK102濾紙2~4人用」

▲「カリタコーヒーフィルター ホワイト NK102濾紙2~4人用」

▲コーヒー豆は「ケニア」(浅煎り・ウォッシュト)。ペーパーフィルター用に挽いてもらいました

▲コーヒー豆は「ケニア」(浅煎り・ウォッシュト)。ペーパーフィルター用に挽いてもらいました

▲タニタ「デジタルクッキングスケール KJ-P11」。0.5g単位ではかれます

▲タニタ「デジタルクッキングスケール KJ-P11」。0.5g単位ではかれます

▲タニタ「デジタル温度計 TT-583(ブラウン)」。防滴仕様のIPX2です

▲タニタ「デジタル温度計 TT-583(ブラウン)」。防滴仕様のIPX2です

▲タニタ「防水タッチタイマー TD-414(ブルー)」 防水性能IPX7・カウントダウン・カウントアップと、すべての機能を備えています

▲タニタ「防水タッチタイマー TD-414(ブルー)」

防水性能IPX7・カウントダウン・カウントアップと、すべての機能を備えています

 

今回使用したコーヒー豆「ケニア」は、同店で購入したケニア(浅煎り・ウォッシュト)。お店で飲むと、完熟する一歩手前のトマトのような爽やかな酸味でとても好みの味でした。今までいろんなお店でケニアを飲んできましたが、このようなケニアの酸味は初めて。この独特な風味の虜になってしまったのです。ぜひ家でも再現したい…!

 

■ポイント①:コーヒー豆やお湯の「分量」をはかる

美味しいコーヒーを淹れるにはまず、コーヒー豆やお湯の「分量」をはかることが重要です。このあとに登場する「温度」「時間」にも共通しますが、“はかる”ことがコーヒーの成分をしっかり抽出し、コーヒー豆のもつ美味しさを引き出すためのポイントとなります。コーヒー豆やお湯の分量は、使用するドリッパーやコーヒー豆の焙煎度合い、抽出されるコーヒーの濃さの好みなどによって異なります。今回は私が使用している「カリタの3つ穴式」のドリッパーでお店の味を再現するべく150mlのコーヒー(ホット)、に対して15gの挽いてもらった豆を使いました。挽き具合は「粗め」に。粗さの度合いを伝えようと、粗めから細かめまで3段階で挽いてみたりしたのですが「結局どれも細かい」画になってしまいました。「お店で挽いてもらうときは、“ペーパーフィルター用で”と伝えるといいですよ」(清水さん)。

▲挽き具合、伝わるでしょうか…

▲挽き具合、伝わるでしょうか…

 

気を取り直して、挽いた豆をはかります。ここでさっそくクッキングスケールの登場です。タニタのクッキングスケールは、電源ボタンを押してから0g(ゼロ)が表示されるまでの待ち時間が短い「すぐゼロ®」機能のほか、重さが表示されるまでの反応が早く、数字がピタッと止まる「すぐピタ®」機能も搭載。「粉ものあるある」の、乗せたあとに数値がブレて「うっかり入れ過ぎ」を防止できるのが特徴です。

▲サクッと計量、これ大事

▲サクッと計量、これ大事

 

■ポイント②:お湯の「温度」をはかる

ドリッパーにペーパーフィルターと挽いた豆をセットして、お湯を注ぎます。さあ注ぐぞ! …とはやる気持ちを抑え、お湯の「温度」を必ずはかりましょう。一般的に、お湯の温度が高いと仕上がりが深く、低いとあっさりめに抽出されると言われています。「お湯の温度やドリッパー、挽き方によってもコーヒーの抽出速度は変わってくるので、コーヒーの風味にも影響します」(清水さん)。お湯の温度は、お店によって80℃~100℃くらいまでかなり差がありますが、お店で飲んだ「しっかりめ」の風味を再現するべく、お店と同じ98℃で入れました。お湯の温度をはかるときは、はかる場所によってムラが出ないようしっかりかき混ぜてからはかるようにしましょう。ちなみにこのデジタル温度計、表示部が横向きなので、どちらの手で使っても数字が読みやすいです。その上、センサーホルダーを本体のフック穴に差し込めば火元から手を離して使えます。

▲センサーホルダーがいい仕事してくれます

▲センサーホルダーがいい仕事してくれます

 

■ポイント③:抽出する「時間」をはかる

ここでタイマーが登場! 抽出のはじめのほうにコーヒーのおいしい成分が出ると言われており、抽出時間の長さもコーヒーの味のバランスに影響します。そのため抽出時間をはかることもコーヒーを美味しく淹れるコツなんです。タイマーはカウントアップ機能がついているものを使います。タイマーをスタートしたら、お湯40gをペーパーフィルターにつかないよう、できるだけ中央めがけて注ぎ、そのまま蒸らします。「この40gというのは、コーヒーの粉を膨張させ、豆の持つ美味しさを引き出すためのお湯の量。コーヒー豆によっても微妙に違いはあるのですが、基本的には『使用するコーヒーの粉の重さ(今回でいうと15g)の2倍の重さに10g加えた重さ』をベースにしている」(清水さん)とのこと。ここまでで40秒が目安です。清水さんによると「ペーパーフィルターにお湯が染みると、お湯が豆を透過せずに落ちてしまうため、結果的に本来より薄い味になってしまう」のだとか。

▲「中心を目がけて40g」が案外難しい

▲「中心を目がけて40g」が案外難しい

 

▲40秒「蒸らす」ことでコーヒーの粉とお湯をしっかり馴染ませます

▲40秒しっかり「蒸らす」ことが重要

 

40秒を過ぎたら、続けて残りの約160gのお湯も同様に、中央をめがけてできるだけゆっくり注ぎます(目安は1分程度)。よく言われますが、ひらがなの「の」の字を書くようなイメージです

残りのお湯を注いだら、スプーンでドリッパーの底から抽出中のコーヒーの粉を下から掻き揚げるように数回混ぜます。これを「ステア」と言うそうです。このひと手間がコーヒーの味と風味を左右します。「浅煎りのコーヒー豆の場合は特に、あっさりした風味になりがちです。ステアをすることで、味を均一化できますよ」(清水さん) 。スプーンはできるだけお湯であたためたものか、プラスチック製のものがベター。

▲端に残った粉もしっかり混ぜます

▲端に残った粉もしっかり混ぜます

 

最後にもうひとつ。「もったいないかもしれませんが、最後の一滴が落ちきるちょっと前に、ドリッパーをはずしましょう。そうすることで、雑味のとれた味わいになります」(清水さん)と意外なコツを伝授してもらいました。今まで最後の一滴がしたたり落ちるまで待っていたのに…。抽出をはじめてからここまでで約2分。正直、普段はコーヒー豆の産地や分量はちょっとこだわっていたものの、抽出時間までは気にしていなかったんです。ただこうやって時間をはかりながら淹れてみると、2分って案外あっという間でした。次にやることを意識しながら進めないと、うっかり予定時間を過ぎてしまったり…。しかし、そんな「いつもよりこだわっている」という感覚もまた、愛着のわく一杯を仕上げるポイントなのかもしれません。

▲できた!

▲できた!

 

ついに完成! さっそく飲んでみると…お店の味の“完コピ”とまではいかずとも、お店で飲んだ、あの「後味ほんのりトマトっぽい」に近づいた気がします。使用した豆の特徴もあるかと思いますが、少なくとも、普段自分で淹れるコーヒーよりもクリアでキリッとした風味になりました。うん、これは好みの味に近づいたぞ。ちょっとこだわるだけで、こんなに美味しくなるとは。いつもよりもこだわった「ちょっとだけ特別な一杯」が出来上がりました。

 

コーヒーはとても奥が深くて、「ハンドドリップ」ひとつをとっても、ここで紹介したもの以外にハンドドリッパーの種類やコーヒー豆を挽くときのミル、使用する水の硬度など、ポイントがたくさんあります。今回はハンドドリップの基本となる“はかる”ことにフォーカスして紹介しました。今回紹介した方法をベースに、ぜひ自分なりの「美味しいコーヒーの淹れかた」を探してみてください。

 

自宅の近所にカフェがたくさんあり、会社からの帰り道によく立ち寄るのですが、そこで仲良くなったご近所の常連さんたちとおしゃべりした後、いつもの別れ際の挨拶は「またね」でした。それがいつの間にか「また来月ね」になり、とうとう「また元気で会おうね」になってしまいました。お店が休業に入る前の最終日はみんなで閉店までいて、なんだか卒業式のような雰囲気に。すぐ近くにいるのに、すごく遠くなる感じがします。一日も早く「またね」に戻りたいので、今は家で美味しいコーヒーを淹れながら、その日を待とうと思います。

 

タニタ デジタルクッキングスケール KJ-P11

https://www.tanita.co.jp/product/g/_KJP11DG/ 

 

タニタ デジタル温度計 TT-583(ブラウン)

https://www.tanita.co.jp/product/g/_TT583BR/

 

タニタ 防水タッチパネルタイマー TD-414(ブルー)

https://shop.tanita.co.jp/shop/g/_TTD414BL/

 

■取材協力:splendor coffee(東京都台東区寿4-13-10)

https://www.splendor-coffee.com/

www.instagram.com/splendorasakusa

 

Text:難波みなみ