2020年11月13日 11:00
【タニタこまちを巡る旅②】大仙市の湧水を探しに
「アグリフライト大曲」（秋田県大仙市）の田んぼですくすくと育ったお米「タニタこまち」。同社の大槻四郎代表取締役に美味しさの秘密についてこっそり尋ねてみると、「大仙市の『水』『土』『気候』」とこんな答えが返ってきました。そこで今回は「水」にスポットをあて、取材しました。地図を広げると、「アグリフライト大曲」の周辺には湧水地が点在しています。さっそくレンタカーに乗り込み、タニタこまちの故郷周辺の湧水を訪ねました。
■天王清水（大仙市）
はじめに向かったのが、「アグリフライト大曲」から約５キロ、車で１０分ほどの距離にある天王清水（大仙市）。ここは水、農業、稲作の神様として信仰を集める八坂神社の境内にあり、こんこんと湧き出る泉には環境省レッドリスト（絶滅の恐れがある野生生物）で絶滅危惧種に分類される淡水魚「イバラトミヨ」が生息しているそうです。きっと大きくてきれいな池なんだろうな。イバラトミヨにも会えるかしら。いい写真が撮れそう…なんて淡水魚だけに淡い期待を膨らませて車を降ります。すると眼の前に広がっていたのは…
あれ？
水がない…
というか、イバラトミヨはどこ？ もしや涸れちゃった…？？ うそでしょ？！ どうしよう、これじゃ原稿書けないよー！！
…まぁ、そんなこともあるよね。落ち込んでいても仕方ないので、気を取り直して次の場所へ。
■春日清水（大仙市）
次に向かったのは春日清水（大仙市）。天王清水からほど近い清水の一つで、調べたらここにもイバラトミヨがいるらしい。次こそ会えるといいな。
Map data ©2019 Google
…と、到着したのはどう見ても田んぼの中の木材屋さん。天王清水とは明らかに違う雰囲気です。ナビの案内通りに来たのだけどなぁ。本当にここで合ってる…？ 不安になりながら周りを見渡すと…
発見しました！！ 想像よりもこじんまりとしていて、池の大きさは直径約３メートル、水深は３０センチほど。目を凝らしてイバラトミヨを探すも、その姿を見ることはできませんでした。水面は落ち葉で覆われていたもの、底まではっきりと見えるくらい、澄んだきれいな水でした。あ～びっくりした。よし、このまま次へ！
■「御台所清水」（美郷町）
最後に訪れたのは大仙市の隣町、美郷町にある湧水群「六郷湧水群」の一つ「御台所清水（おだいどころしみず）」。六郷湧水群には大小６０以上の湧水があり、環境省が選定する「名水百選」にも選ばれています。その代表格ともいえるのが、この御台所清水です。ここはその昔、秋田佐竹藩第2代鑑照院義隆公が鷹狩りの際に泊まった旅館が近くにあり、料理用の水として使われたことにちなんで名づけられたといいます。
こちらにもありました！！ 水面に景色が映りこむくらい澄んでいて、しかも今まで見た中ではいちばん水量があります。湧水巡りというか、もはや水探しの旅みたいになってきたけど、三度目の正直という感じで少しホッとしました。
そうそう、六郷湧水群に足を運んだら、絶対に外すことができないものがあるんです。それは「ニテコサイダー」。ニテコ清水で作った炭酸飲料で、六郷湧水群を訪れた多くの人がこれで乾いた喉を潤します。もちろん私も無事に湧水を見られた記念に「ニテコサイダー」を御台所清水近くの酒店で購入しました。調べてみると、秋田を代表する地サイダーで、「明治35年から続く伝統の味」とあります。
メイド・イン美郷町、名水百選の水で作ったサイダー、なんだかおいしそう！
シュワシュワとしたまろやかなサイダーも好きだけど、このサイダーはジュワっとした強めの攻めた炭酸。口に含んだ瞬間に勢いよく小さな泡がパチパチ弾ける感じ、と言ったら伝わるでしょうか。喉越しはガツンと、後味ほんのりラムネの甘い余韻が残る、そのギャップが楽しい。キリッとしたクリアな風味なのは、きっと水が美味しいからでしょう。
国産トチはちみつ５％入りの「ニテコはちみつサイダー」も購入。はちみつのまろやかで優しい甘さを感じるサイダーでした。個人的にはこちらのほうが好みかも。
サイダーを買った地元の酒店のおばちゃんたちに湧水について聞いたら、「なーに言ってんの！」 と笑いながら「今は湧水ない時期だよ〜、田植えの時期においで！」とのことでした。湧水が見られなかったのはどうやら時期的なものだったようです。そういうことか…。いずれにせよこうした清水が田んぼに流れ込むことで、その周辺の土地で育つお米が美味しくなるのでしょう。今回巡ったのは3カ所でしたが、湧水スポットは大仙市だけでも9カ所もあるそう。「水」がタニタこまちの美味しさに一役買っていることは間違いなさそうです！
タニタこまち
https://shop.tanita.co.jp/shop/e/ekomachi/
Text：難波みなみ
