2020年12月5日 11:00
「第3回ご当地タニタごはんコンテスト」は、近畿地区の3チームが入賞するという形で幕を閉じました。「上位入賞者はとにかくプレゼンテーションが上手かった」。同コンテストで審査委員を務めた服部幸應氏がこう振り返るとおり、テンポの良いわかりやすい説明はもちろん、かぶりものをかぶるなどビジュアル面でも楽しめる個性豊かなプレゼンテーションでした。今回はグランプリ、準グランプリを受賞した3チームにメニューづくりの苦労やポイントなどについてインタビューしました。
―結果をどう受け止めていますか
「最近の料理コンテストをみると、家庭で簡単に真似ができる料理がウケる傾向があります。とくにSNSなどでビジュアル的に受けそうな料理です。手間がかかる料理や作ることが難しそうな料理は評価されにくい。そこを評価していただいたのは、ありがたかったです。当然、ビジュアルにこだわったことは言うまでもありません。また、今回のコンテストはプレゼンテーションの配点も高いので、妻にアドバイスをもらいながら事前に練習しました」
―料理のポイントはどのあたりでしょうか
「かつて仏南部プロバンス地方にある一ツ星レストランで修業していたこともあり、フランス料理をベースにしています。これをカロリーや栄養などを考慮しました。さらに、兵庫県加古川市の郷土料理『かつめし』という文化を反映させ、食材に畑のお肉と評されるほど栄養価が高い高野豆腐なども取り入れました。お箸で食べられる気軽な料理です。地産地消、サステナブルもポイントです。今回の料理は道の駅などで手に入る食材を使っています。食材を余すことなく作りました」
―次の目標はありますか
「(今回の受賞で)料理をタニタに紹介してもらったことで、多くの人に地産地消、サステナブルを伝えていければと思っています」
―準グランプリという結果をどう受け止めていますか
「満足していません。グランプリを目指してやってきましたから、本当に悔しいの一言です。ただ、かねて大ファンである(審査員を務めた)服部幸應先生に会えたのが、とてもうれしかったです。プレゼンテーション中に着たエプロンは、服部先生がかつて審査員として出演していた料理番組『料理の鉄人』のシェフたちが身に着けていたものをイメージしました」
―メンバー3人のご関係は
「キッズクラブで食育の活動をしている仲間です。今回のコンテストに出場したのもキッズクラブの存在を広く知ってもらおうというのが目的です。子どもたちにいかに安全なものを食べてもらうか、日々、知恵を絞っています。食品添加物がまん延していますが、昔はありませんでした。食品に添加物を入れる代わりに、私たちは知恵を絞っています。お金をかけるばかりが料理ではないことを子どもに教えたい。大切なのは旬の素材をふんだんに使い、おいしく食べることだと伝えていきたいと思っています」
―35品目もの食材を使っているとのことですが…
「今はバランスよく食べましょうと言われていますが、かつて1日に35品目の食材を摂りましょうという言葉が流行っていました。この35品目を意識したわけではないのですが、栄養のバランスや色どりなどを考えぬいた結果、35種類の食材を使っていました。もちろん子どもが嫌いな野菜も使っています。基本は身近にある食材を使っています」
―今回の料理のポイントはどのあたりでしょうか
「一口食べておいしいと感じるのではなく、全部食べるとおいしいと感じられる料理を目指しました。一口食べておいしいと感じる料理は味が濃すぎます。これだと全部食べ終わるころには料理に飽きてしまいます。料理一つひとつは薄味ですが、全部食べておいしく感じられるように作りました。シャリに塩を使っていないのもこのためです」
―表彰式での涙が印象的でした
「感極まって壇上で涙がこぼれてしまいました。でも、入賞しなくてもきっと悔しくて涙が出たと思います。ご当地タニタごはんコンテストに出場するのは今回が初めてではなく、第1回大会は書類審査で落ちました。今回はリベンジのつもりで、『結果を残したい』と意気込んで会場入りしました。結果を残せてほっとしています」
―今回は一人で会場入りされていましたが、いかがでしたか
「メンバーは3人ですが、コロナの影響を考えて、私一人だけで会場に入りました。ほかの二人のメンバーはリモートで参加したほうがいいという意見でした。しかし、メンバーにはリモートでは伝わりにくいので、一人でもいいからプレゼンテーションしたいという意見を押し通しました。自分の意見を押し通して良かったと思っています。コンテストは(動画配信サイト)『YouTube』でライブ配信されていたので、コンテスト中も仲間にずっとSNSなどで励まされました。とても心強かったです」
―プレゼンでは食材の全てがスーパーだけで手に入ることをアピールしていました
「ここは一番訴えたいポイントでした。郷土料理は敷居が高いというイメージがあり、“ハレの日”や特別な日に食べます。でもそれではなかなか普及しないと思います。特別な日は毎日ないですから。普段の日に食べられるもの。いつでもどこでも手に入る食材で作る庶民派メニューを考えてきました」
―今後の展開は
「私たちの地元である京都府長岡京市の職員の方がコンテストの会場にいて、あいさつしました。今回の結果やメニューなどを市長に伝えていただけるそうです。そして料理を通じて長岡京市を盛り上げるような活動ができたらと考えています。長岡京市は京都市と比べると知名度は低いですが、料理で長岡京市を盛り上げていければと思っています」
参加者みなさんの熱い想いが詰まった「ご当地タニタごはんコンテスト」、みんな口をそろえて「(プレゼンテーション時間が)3分じゃ足りない!」とおっしゃっていたのが印象的でした。受賞されたみなさま、そして応募いただいたすべてのみなさま、素敵なレシピをありがとうございました!
■ご当地タニタごはんコンテスト
Text:難波みなみ