2021年11月16日 10:00

金芽米に生まれ変わるタニタこまち 東洋ライス サイタマ工場を訪ねて

秋田県大仙市ですくすくと育ったお米「タニタこまち」。よりおいしく、栄養化も高いお米になるため、秋田から約500キロメートル離れた埼玉県坂戸市にある東洋ライスサイタマ工場に場所を移します。「タニタこまち」から「金芽米 タニタこまち」に生まれ変わる過程を教えてもらいに東洋ライスサイタマ工場に足を運びました。

埼玉県坂戸市にある東洋ライスサイタマ工場

▲埼玉県坂戸市にある東洋ライスサイタマ工場

 

東武鉄道東上線の北坂戸駅から車で約15分。ここに東洋ライスサイタマ工場があります。工場の門をくぐると、まず目に飛び込んできたのはお米が入った袋の山。「いったい何人前のお米があるのだろうか」と、工場見学への期待に胸が高鳴りました。

東洋ライスサイタマ工場の集荷場に山積みされたお米

▲東洋ライスサイタマ工場の集荷場に山積みされたお米

 

この日、工場を案内してくれたのは東洋ライスサイタマ工場の工場長の榊洋一さん。まず工場の入り口付近にある集荷場に連れて行ってもらいました。ここには毎日、全国からたくさんの玄米が入荷します。入荷した玄米はまず検査員が金芽米に精米加工するうえでの品質と適性をチェックします。粒の割れが多くないか、水分が適切かなど、東洋ライス独自の厳しい基準でチェックしています。

選別機の前で説明する東洋ライスサイタマ工場工場長の榊洋一さん

▲選別機の前で説明する東洋ライスサイタマ工場工場長の榊洋一さん

 

検査に合格すると、まず玄米の中に混入している異物を取り除くため、選別機にかけられます。「この工程では草や小石、ひも、ボルトといった異物が出てきます」(榊さん)と言いながら、バケツに入った異物を手のひらの上に乗せて見せてくれました。

選別機で取り除かれた小石やボルトなど

▲選別機で取り除かれた小石やボルトなど

 

続いて案内されたのは精米室。室内に入ると精米機が発する大きな音とヌカの匂いが漂い、日常とは異なる空間にいることを意識させられました。ここで玄米に付いているヌカを取り除きます。精米機で取り除かれるのはヌカ漬けなどに使用されるヌカの部分。精米中に榊さんが精米機の中から取り出してくれた米を見ると、白く、ピカピカと輝いているように見えます。こんなにキレイでも、表面にはまだ肌ヌカと呼ばれる粘着性の強いヌカが付いているといいます。肌ヌカが付いた状態だと、炊飯する前にとぎ洗いが必要で、その際、せっかく残した旨み・甘味の元や栄養成分が流れ落ちてしまいます。金芽米の特徴の一つである無洗米になるには、「もうひと手間かける必要があります」(榊さん)と話します。

精米中のお米

▲精米中のお米

 

BG無洗米機のしくみ

▲BG無洗米機のしくみ

 

それでは肌ヌカはどうやって取り除くのでしょうか。肌ヌカは金属にくっつきやすいという性質があります。さらに、同じ肌ヌカ同士はくっつきやすい性質があります。東洋ライスは肌ヌカが持つこの性質に着目し、肌ヌカを取り除く機械「BG無洗米機」を独自に開発しました。BG無洗米機は、お米から肌ヌカをはがす部分とお米と肌ヌカを分離する仕分け部分の主に二つの部分で構成されています。まずは同機械に入ったお米が、円筒状の機械内部で高速攪拌され、粘着力のある肌ヌカは機械内部のステンレス壁に付着します。この付着した肌ヌカに、他の米粒の肌ヌカが次々と付着していき、お米から肌ヌカが剥がされていきます。こうして徐々にBG無洗米になっていきます。機械内部に付着した肌ヌカもかき落とされ、無洗米と肌ヌカは仕分け機へ送られます。仕分け機ではお米に空気を噴射し、機械の中で舞っている肌ヌカを吸引することで、お米に付着した肌ヌカを分離するという仕組みです。

BG無洗米機の一部

▲BG無洗米機の一部

 

榊さんは出来たてホヤホヤの無洗米を機械の中から取り出し、見せてくれました。精白米(一般的なお米)と比べてみると、私のような素人の目にもその違いがはっきりとわかりました。精白米でも十分に白いですが、無洗米はそれとは比べものにならないほど白く、艶々と輝いていました。

左は肌ヌカを取り除いた「無洗米」。右は精白米(一般的なお米)

▲左は肌ヌカを取り除いた「無洗米」。右は精白米(一般的なお米)

 

精米したお米から分離された肌ヌカは熱処理を施し、「米の精」として活用されています。米の精はリンや窒素、マグネシウムなどを豊富に含んでおり、有機質肥料として野菜や果物、お米などの栽培に使われています。また、牛や豚といった家畜の飼料にも利用されており、榊さんは「お米は、捨てるところがほとんどありません」と笑みをこぼしていました。

生産中の「米の精」

▲生産中の「米の精」

 

金芽米への工程もいよいよ終盤に入ります。ここでは品質に万全を期すために、最新の検査装置による連続的な検査を実施しています。選別機室ではお米の中の小さな石粒を取り除く石抜き機をはじめ、着色した米粒などを選別するカラー選別機など複数の機械で検査します。風力選別機では髪の毛や塵の侵入も許しません。このように厳重にチェックを施した後、パッキングマシーンで袋詰めにされ、出荷されます。

カラー選別機

▲カラー選別機

 

袋詰めをするパッキングマシーン

▲袋詰めをするパッキングマシーン

 

この日は、普段は訪れることがない異空間に好奇心を刺激された一日でした。玄米から金芽米への加工は、精白米(一般的なお米)よりも多くの工程があることを理解しました。また、その裏には東洋ライスのスタッフのみなさまの血のにじむような努力があったことは想像に難くありません。東洋ライスのみなさま、ありがとうございました。

 

「タニタこまち」生産者から

「タニタこまち」の生産者である、有限会社アグリフライト大曲社長の大槻四郎さん(右)、専務の智也さん

▲「タニタこまち」の生産者である、有限会社アグリフライト大曲社長の大槻四郎さん(右)、専務の智也さん

 

「アグリフライト大曲のある大仙市内小友は雄物川の西側に位置し、地元では昔からとても美味しいお米がとれる地域と言われています。今年は夏から秋にかけて、例年にないくらいの好天に恵まれ、甘みが増した品質のよいお米が育ちました。今回、金芽米に精米加工されたことで、あきたこまち特有の粘り気の強さがさらに際立ち、とてもよい味に仕上がっているなと感じました。ぜひ、とびきり美味しいあきたこまちを使って作られた『金芽米タニタこまち』を、味わってください!」(大槻四郎さん)

「秋田にはお米はもちろん、他にも美味しい食材がたくさんあります。コロナ禍が落ち着いたら、ぜひ秋田にも足を運んでいただき、秋田の美味しい食材と一緒に『金芽米タニタこまち』を食べてもらえたらと思います。」(大槻智也さん)

 

ちなみに、大槻さんおススメの“ごはんのお供”は、たらこや焼き鮭とのこと。炊き立てアツアツの「金芽米タニタこまち」に合うこと間違いなしです! 

 

タニタこまち

https://shop.tanita.co.jp/shop/e/ekomachi/

 

Text:合同会社サウザンスマイルズ